bybitをはじめとする海外の仮想通貨関連は、税金計算が難しい…そう思っていませんか?
確かに「とても簡単!」とは言えませんが、ある「3つのステップ」を意識して取り組めば意外と簡単にbybitの税金関連のイベントを完結できます。
ここではbybitの税金について
- bybitの税金について知る
- 税金計算を行う
- 税務署に納税する
のステップに切り分けて申告・納税までを解説します。
ちなみに税金関係が面倒だからと納税や申告をしない方がいますが、これは脱税といって違法行為です。この記事を参考にしっかり計算を行って納税しましょう。
目次
bybit(バイビット)の税金に関する基礎知識
bybitの税金に関する基礎知識を解説します。
最初に基礎知識をしっかりと押さえておけば、後の理解・手続きも早くなります。
ちなみに以下はbybitの口座開設が完了していることを前提としています。まだお済みでない方は、以下から口座開設を行いましょう。
税金が発生するタイミング
bybitで税金が発生するのは売却や決済など、取引で利益が発生したときが原則です。
ただし、人によりどのくらいの利益から税金手続き(確定申告)が必要なのか条件が異なります。
詳しくは後述する「税金が発生するのはいくらから?」の章で解説しますので、ご自身の状況に最も近い条件で計算・申告を行いましょう。
なお、ほとんどのケースでは個人としての取引になるため、bybitの取引で発生する税金の種類は申告所得税が該当します。
また申告所得税は自ら所得税額を計算し申告するもので、利益があるのに申告しないと脱税となる点に注意が必要です。
税金の対象となる期間
毎年1月1日から12月31日までの1年間が対象期間です。
よって令和3年分(2021年)は、2021年1月1日から12月31日までが確定申告の計算期間となります。
申告は原則、計算期間の翌年2月16日~3月15日までに行うことが求められます。
令和3年分を例にすると、確定申告は例年通りなら2022年2月16日~3月15日の1ヶ月間に行います。
分かりやすくするため、事例を用意しました。
例:2021年12月17日にハイレバが当たり300万円の利益が出て、2022年1月10日にハイレバで300万円を溶かしたケース
このケースでは、
- 2021年12月の300万円の利益は令和3年分(2021年分)の確定申告で申告
- 2022年1月の300万円の損失は令和4年分(2022年分)の確定申告で計上(申告)
といったスケジュールとなります。
ただし、令和3年度については緊急事態宣言・外出自粛要請などの状況によって変動がありえます。詳細な申告期限はお住まいの地域の税務署へ確認しておきましょう。
bybitの損益の確認方法
bybitの損益は以下の3点で確認できます。
- 実現損益レポート
- 出金履歴
- 資産履歴
それぞれの役割を以下にまとめました。
名称 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
実現損益レポート | 約定済みの損益がまとまったレポート。 取引手数料・資金調達手数料などを差し引いた純粋な利益が記載。 | 取引で発生した利益を確認可能 |
出金履歴 | 出金時のトランザクション手数料が記載。 | トランザクション手数料を経費計上するために使用 |
資産履歴 | 通貨の両替履歴が記載。 | 仮想通貨を両替した際の所得を計算するために使用 |
上記書類を元に、損益を確認しましょう。
確認後、課税所得が発生していれば(≒控除を差し引いてもプラス収支になっていれば)確定申告が必要です。
bybitで利益が出た場合の税率
bybitで得た利益の税率は「総合課税」に分類されます。
総合課税とは所得が多いほど税額も上がる方式です。
詳しくは後述します。
また国税庁の方針で、暗号資産(仮想通貨)の証拠金取引は申告分離課税の対象外です。よって国内外問わず、総合課税での扱いとなります。
ここで税率を計算する参考情報として、総合課税の税率を以下にまとめました。比較対象として、分離課税方式の税率も併記します。
- 分離課税:税率は一律20.315%
- 総合課税:税率は所得によって変動する。(以下の表を参照)
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
330万円以下 | 10% | 97,500円 |
695万円以下 | 20% | 427,500円 |
900万円以下 | 23% | 636,600円 |
1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
また、総合課税と分離課税の違いは以下のとおりです。
総合課税 | 分離課税 |
---|---|
全ての所得合計から各種所得控除し、累進課税率をかけた課税方法 | 種類毎の独自の税率をかけた課税方法 |
雑所得(暗号資産売却など) 配当所得 不動産所得 事業所得 給与所得 など | 配当所得 株式等の譲渡所得 退職所得 山林所得 など |
税金が発生するのはいくらから?
結局のところ「bybitでいくら稼いだら税金が発生するの?」という疑問にお答えするため、それぞれ職業や状況別に税金が発生するタイミング・金額をまとめました。
今回紹介するのは以下のケースです。
- 被扶養者
- 会社員
- 個人事業主
- 年収2,000万円以上の人(会社員含む)
なお、bybitやハイローオーストラリア、マンション経営、その他副業を合わせた「雑所得の合計」が年間で規定値以上になると税金が発生する仕組みのため、bybit単体での収益ではないことに注意が必要です。
被扶養者
被扶養者の場合、以下の金額から税金が発生します。
具体的には「扶養する側の人物と生計を共にしていて、さらに所得金額が一定以下の人」となります。
その上で以下に該当すると税金が発生します。
- アルバイトやパートをしている場合:年間利益(雑所得合計)が20万円から税金が発生
- 無職、専業主婦などの場合:年間利益(雑所得合計)が48万円を超えると税金が発生
会社員
会社員の場合、年間利益(雑所得合計)が20万円を超えると税金が発生します。
なお、年末調整での申告はできません。
個人事業主
個人事業主の場合、年間利益(雑所得合計)が48万円を超えると税金が発生します。
なお法人化していない限り、ご商売の収益も合計したものが基準となります。
年収2,000万円以上の人
bybitの利益や雑所得に関係なく会社員の給与が2,000万円以上の場合、この時点で確定申告が必要です。
bybit(バイビット)の税金計算の方法【事例付き】
ここでは稼いだ金額を仮設定して、具体例で税金計算方法を解説します。
ご自身の状況にもっとも近いケースを、税金計算の参考にしてみてください。
なお、前提条件として所得税の計算方法は以下のとおりです。
課税所得×税率ー控除額
詳しくは国税庁HPでも確認可能です。
月利益20万円の会社員トレーダーの場合
月に20万円の利益を出しつつ、会社員としても給与を得ているトレーダーのケースを見てみましょう。
- 課税給与所得:400万
- bybitの所得:240万
- 仮想通貨取引にかかった経費:10万
の場合で計算してみます。
結論として、かかる税金は148万9,460円となります。
計算式の内訳は以下のとおりです。
- 所得税:20%
- 住民税:※地域・条件によって若干異なるため、ここでは10%と仮定
- 復興特別所得税:0.42%
(所得税x2.1%=0.42%)
東日本大震災からの復興のために創設された税金。納税者すべてが課税対象。税率は所得税額に対して2.1%。
実際の計算式は以下の通りです。
(給与所得+仮想通貨利益-経費)×(所得税率+復興特別所得税+住民税)-控除
上記を元に計算すると、以下のようになります。
(給与所得400万円+仮想通貨利益240万円-経費10万円)×(所得税率20%+復興特別所得税0.42%+住民税10%)-42万7,000円=148万9,460円(税金)
月利益50万円の専業主婦の場合
月に50万円の利益を出している専業主婦の場合をモデルケース化してみました。
- 課税給与所得:0
- bybitの所得:600万
- 仮想通貨取引にかかった経費:60万
上記の場合で計算してみます。
結論として、かかる税金は121万5,680円となります。
計算式の内訳は以下のとおりです。
(給与所得0万円+仮想通貨利益600万円-経費60万円)×(所得税率20%+復興特別所得税0.42%+住民税10%)-42万7,000円=121万5,680円(税金)
月利益100万円の専業トレーダーの場合
月利益100万円の専業トレーダーの場合はどうでしょう。
- 課税給与所得:0
- bybitの所得:1200万
- 仮想通貨取引にかかった経費:100万
上記の場合で計算してみます。
結論として、かかる税金は324万200円となります。
計算式の内訳は以下のとおりです。
(給与所得0万円+仮想通貨利益1200万円-経費100万円)×(所得税率33%+復興特別所得税0.42%+住民税10%)-153万6,000円=324万200円(税金)
bybitの(バイビット)確定申告に必要なものと手続きの流れ
bybitの確定申告に必要なものを揃える方法と、確定申告の流れをステップバイステップで解説します。
なお確定申告はオンライン・オフライン両方で可能です。基本的に申告内容や方法は変わりません。
必要書類を揃える
まずはいくつか書類を揃える必要があるので流れを解説します。
ステップごとに要所要所を画像つきで解説しますので、ひとつずつ入手していきましょう。
実現損益レポート
bybitでどれだけの利益が確定しているかを表す実現損益レポートが必要です。
入手方法は以下のとおりです。
- STEP
マイページへログイン
マイページまたは取引画面いずれかにログインします。
- STEP
個人資産へ進む
続いて画面右上のメールアドレス表示部分をクリックし、画像で指し示した「個人資産」の画面へ進みます。
- STEP
実現損益へ進む
続いてこの画面から、画面左側の「注文」をクリックします。
出金履歴
続いて出金履歴を入手します。
といっても方法は簡単で、個人資産のページから出金タブをクリックし、「出金履歴」を選択するだけです。
資産履歴
最後に資産履歴ですが、こちらはサポートへ取り寄せを行う必要があります。
2020年の秋頃から、bybitでは資産履歴をダウンロード制からリクエスト制に変更しました。よってbybitサポートへ以下の内容で資産履歴をリクエストしましょう。
問い合わせ先:support-jp@bybit.com
件名(例):資産履歴のリクエスト
本文(例):
bybitサポートチーム御中
以下の内容で私の資産履歴をリクエストします。
1)コインタイプ
すべての通貨
2)必要なデータの範囲(開始日と終了日)
すべての範囲
3)受信したいデータ内容
資産履歴(※)
4)ファイル形式
CSV
宜しくお願い致します。
申告期間に間に合うよう余裕をもって行いましょう。
申告書を作成する
bybit側で必要書類が揃ったら、確定申告に必要な申告書を作成しましょう。
なお、確定申告書はオンラインでも手書きでも作成できますが効率的なのはオンライン+ツールの使用です。
オンラインなら国税庁のシステム、会計ソフトなどで提出可能です。
オフラインの場合は管轄の税務署に直接出向いて持ち込むか、郵送提出が必要です。
慣れていなければ会計ソフトを利用したり、そもそも確定申告を税理士に依頼する方法もあります。
また、考え方としてよくつまずくのが「日本円でもなくトレード手法も様々な暗号資産の所得価額を、どう計算したらいいか」というポイントです。
結論から言えば、計算方法は移動平均法用か総平均法のいずれかで計算し、申告します。
この際、どの計算方法を採用したか届け出も必要です。届け出をしていなければ総平均法とみなされます。
詳細は上記国税庁のサイトに譲りここでは割愛しますが、簡単にいえば以下の2通りがあります。
- 移動平均法:購入のたびに平均単価を計算するので実感に近い。
- 総平均法:年間で一括して計算するので計算が簡単。
一見難しそうですが、国税庁では必要事項を入力すると自動で計算してくれるエクセルを用意してくれています。
出典:国税庁HP
ちなみに確定申告書はA・Bの2種類がありますが今回使用すべきはB(給与所得の他に所得がある場合に使用する申告書)となります。
確定申告書Bへの記載自体は、上記でまとめたもの(主に数字)を当てはめていくだけなのでそこまで困ることはありません。
むしろ確定申告書へ記載する数字を算出して集める作業(上章までの内容)が確定申告の「峠」なので、さほど心配すべき点はありません。
確定申告する
確定申告ソフトなど利用し、自力で作成したらあとは管轄の税務署に提出するだけです。
郵送の場合は収受印が押印された控えを返送してもらえるよう、返信用封筒も添えましょう。そうしないと控えが入手できません。直接税務署に出向く場合は、その場で控えがもらえます。
申告後は、申告のとおり所得税を納付しましょう。
なお納付書が税務署から届くことはないので、自分で納付手続きを行う必要があります。納付期限は、確定申告の提出期限と同じ日となります。
bybit(バイビット)の税金・確定申告に関するQ&A
bybitの税金・確定申告に関する疑問に回答していきます。
経費になるものはありますか?
- プロバイダ料金
- パソコン、タブレット等取引に必要なものの購入代金
- 口座開設のための必要書類の取得費
- 仮想通貨の売却手数料
- 仮想通貨関連の書籍購入費
- セミナー参加費
- 会計ソフト利用料
基本的には上記の様な「事業に必要な経費」が申告・計上可能です。
いわゆる節税対策についても経費の関係で調整は出来ますが、専門的な領域となります。
詳しくは税理士など専門家に確認をするのがベストです。
なお、国税庁でもおおよそ経費になるものが公開されているので参考にしてみてください。
税金対策をする上での注意点は?
bybitの場合、海外事業者ならではの注意点がいくつかありますのでご紹介します。
青色申告は使えない
bybitをはじめとする海外事業者については、青色申告が使用できません。白色申告をすることとなります。
また関連して繰越損失が使えないことも注意しておく必要があります。
年間の損益でマイナスが出た場合、最大で向こう3年間損失を繰り越して次年度以降の利益と相殺できる制度。国内業者の場合は繰越損失が認められているが、海外事業者では制度上認められていない。
領収書やレシートは保管しておく
取引の経費として支払った分の領収書やレシートは、その年度の確定申告期限の翌日から起算して7年間保存しておく必要があります。
万が一税務調査が入った場合、領収書やレシートは強い証拠能力を持ちます。自衛のためにも必ず保管しておきましょう。
取引以外にも使用するものは家事按分が必要
経費の中で事業用の支出と生活のための家事用の支出が混ざってしまう場合、事業に使用した分の経費を再計算すること。
例えば自宅兼事務所の場合、家賃は事業用の家賃と生活用の家賃で分別される必要があります。
さもないと事業に関係のない生活用の経費まで事業経費として計上しているとみなされ、税務署から経費を否認される恐れがあります。
以下は家事按分の対象経費の一例です。
- 家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 移動費
確定申告にオススメな会計ソフトは?
確定申告する際は会計ソフトがとても便利です。
さらにソフト使用代金は経費にもできます。
また、税理士に頼むと「ちょっと高いかも」という時も会計ソフトがおすすめ。
費用が明示されており、疑問点もチャットなどで質問できるのもGoodです。
以下に、私のおすすめ会計ソフトを3つご紹介します。
投資事業の他にも複数事業を手掛けており、確定申告の効率にこだわる私が厳選しました。
やよいの白色申告オンライン
白色申告(今回の申告方法)ならこのツールがおすすめです。
とにかく分かりやすい見た目で直感的に確定申告書類が作成可能で、さらにクラウド型ツールのためインストールも不要、無料プランでも充分に利用可能です。
freee
個人事業主の方にはおなじみのツールですが、グッドデザイン賞を受賞するほどの使いやすい操作感が特徴です。
ウィザード方式(質問に回答しながら書類を作っていく方式)が採用されているので、初めて確定申告をする方の強い味方といえるでしょう。
マネーフォワード
マネーフォワードのクラウド確定申告も非常におすすめです。
経費計算の難しい点に「この経費はどの科目に該当するのか」という判断があるのですが、マネーフォワードでは自動で科目の提案をしてくれます。
さらに無料トライアル期間も用意されているため、税金計算や確定申告には必携のツールです。
税金計算が面倒です。何か方法はありますか?
莫大な利益を出した、面倒臭い、正直不安…という人は税理士に依頼するのもありです。
ただし、利益が小さいと儲けがなくなる可能性があるので注意しておきましょう。
税金を払いたくないのですが、ぶっちゃけバレませんよね?
結論、バレる可能性が高いです。
バレていないというより、国税庁や関係当局に「泳がされているだけで監視はされている」状況の方が事例としては多いので、場合によっては最悪、ある日突然強制捜査が入る可能性も否定できません。
もちろん利益が出ているのに申告・納税をしないのは違法行為となりますので、絶対にやめましょう。申告していないことがバレると、追徴課税が課されることになります。
まとめ
bybitは海外事業者なので所得は雑所得・総合課税で計算することになります。
また確定申告が必要となる所得額の基準は人により異なりますので、ケース別に税金計算を行いましょう。
プロバイダ料金、通信費、bybitの各種手数料など取引に必要な支出は経費計上可能です。
関連する取引履歴はbybitから入手可能なので、期限内に確定申告ができるように準備を進めておきましょう。
無申告のままだと無申告加算税や延滞税がかかる可能性があるので、充分に注意が必要です。